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【テスト】「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」解説

当学会倫理委員会では会員の皆様への周知を目的として、厚生労働省から公布された「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」を簡潔にまとめた解説を作成いたしました。下記テーマごとの解説を倫理委員で分担し、毎月掲載して参ります。
論文発表や学会発表などの際に、お役立ていただければ幸甚に存じます。

遵守のお願いと解説

日本小児アレルギー学会倫理委員会
執筆者:大嶋勇成 2017.5掲載

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の一部改正への対応のお願い

 個人情報保護法等の改正にともない、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の一部改正が、平成29年2月28日に告示され、同年5月30日から施行(一部告示日と同日)されます。会員の皆様には、学会発表、学会誌へ発表される際には、この改正された倫理指針を遵守していただくようお願い申し上げます。

厚生労働省ホームページ「研究に関する指針について」

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 平成29年一部改正」をご参照下さい
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html

個人情報保護法等の改正に伴う倫理指針の見直しの概要(案)
  1. 用語の定義の見直し
  2. インフォームド・コンセント等の手続の見直し
    • 個人情報等の取扱いが一部厳格化(要配慮個人情報の取扱い、外国にある第三者への提供、第三者提供時の記録作成等)されたこと等によるオプトアウト手続等の見直し
  3. 匿名加工情報・非識別加工情報の取扱規定の追加
  4. 改正指針施行前までに対応すべき事項及び経過措置
    • 個情法等改正の影響を受ける部分は、改正指針施行日(5月30日)までに準備し、適合する必要がある。
    • 現行又はそれ以前の指針において対応を猶予してきた事項については、施行と同時又は一定の猶予期間を設けて対応を求める。

個人情報保護法の義務規定の適用除外となる場合の整理について

改正個人情報保護法(抜粋)
第76条 個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、第4章の規定は、適用しない。
(中略)
三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的

*研究所、1つの主体とみなすことができる共同研究、学会等が学術研究の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合には、個人情報保護法第4章の規定は適用されない。

1.用語の定義の見直し
改正個情法等 定義(概要) 該当例 取り扱いの概要
個人識別符号 特定個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの ・ゲノムデータ(塩基配列を文字列で表記したもの)の全部又は一部 等
・生体情報(虹彩、声紋、皮下静脈、指紋、掌紋等)をデジタルデータに変換したもの等
個人情報として取り扱う必要がある
要配慮個人情報 本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報 ・個人情報に病歴が含まれるもの
・ゲノム情報(塩基配列に解釈を加えて意味を有するもの)等
個人情報として求められる順守事項に加え、さらに上乗せの順守事項が求められる。
取得及び第三者ヘ提供する場合、原則、本人の同意取得の義務化。
匿名加工情報
(非識別加工情報)
措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの ・個情法施行規則に定める基準に従って作成等行ったもの 個人情報として求められる順守事項は求められないが、別に定められた順守事項が求められる
・作成時の公表
・識別行為の禁止 等

改正指針での匿名化の定義
特定の個人(死者を含む。)を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を取り除くこと(当該記述等の全部又は一部を取り除き、当該個人と関わりのない符号又は番号を付すことを含む。)をいう。

*「連結不可能匿名化」、「連結可能匿名化」の用語は廃止。
*「連結不可能匿名化されている情報」であっても、個人識別符号(ゲノムデータ等)に該当する情報が含まれている場合には、「匿名化されている情報」としての取扱いが必要。

2.インフォームド・コンセント(IC)等の手続の主な変更点

○要配慮個人情報を取得・提供する場合は、原則同意が必要。
○法律の適用除外や例外規定に該当する場合にオプトアウトのみでの自機関利用・他機関提供は可能
○既存情報を匿名加工情報及び非識別加工情報として用いる場合にIC困難な場合は手続き不要。
○ゲノムデータ等の個人識別符号のみが存在する場合等、拒否機会の保障が困難な場合が想定されうることから、そのような場合は例外として、通知又は公開をし、「原則」拒否機会の保障を求める。
○連結可能匿名化された情報の他機関提供時に、対応表を提供しない場合には通知又は公開とする
○匿名化されている既存試料・情報を通知又は公開の手続きで提供を受けた場合、提供先機関においては、提供元機関のIC等の手続きを確認し、かつ公開の手続きが必要。

指針上求める通知又は公開すべき項目(オプトアウトも含む)

提供の事実:試料・情報の利用目的又は他の研究機関への提供を利用目的とする旨
提供の項目:利用又は提供する試料・情報の項目
提供方法:自らの研究機関内又は他の研究機関への提供の方法
利用の範囲:利用する研究機関の範囲
利用目的:利用する研究機関の利用目的
責任者:試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
拒否機会の保障:研究対象者の求めに応じて、研究対象者が識別される試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を停止すること。
拒否の方法:研究対象者の求めを受け付ける方法

既存試料・情報の定義(医学系指針 第2(7))
①研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
②研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの
(例)

  • 残余検体、診療録
  • 当該研究とは異なる研究の実施において研究対象者から直接取得された試料・情報

インフォームド・コンセントの手続き

(新規試料・情報の取得) (既存試料・情報の自機関利用(利用目的の変更))
(既存試料・情報の他機関への提供) (既存試料・情報を他機関から取得)
3.匿名加工情報・非識別加工情報の取扱規定

新たに匿名加工情報等を作成し、研究に用いようとする場合

区分 匿名加工情報等の取扱い ICの要否
新規取得 研究対象者から新たに試料・情報を取得し、匿名加工情報を作成する場合 IC必要
自機関利用 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて匿名加工情報等を作成し、研究を実施しようとする場合 IC困難な場合、
IC不要
他機関提供 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて匿名加工情報等を作成し、当該匿名加工情報等を他の機関へ提供しようとする場合 IC困難な場合、
IC不要

テーマ

侵襲、軽微な侵襲の範囲 (執筆者:縣 裕篤 2016.1掲載)
介入の意味(執筆者:池田 政憲 2016.3掲載)
臨床研究保険(執筆者:髙橋豊 2016.4掲載)
モニタリング・監査(執筆者:松原知代 2016.5掲載)New!

 

 

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