第6章 診断と検査(食物経口負荷試験を除く)

[ 要 旨 ]

  1. 1食物アレルギーは、特定の食物摂取によりアレルギー症状が誘発され、それが特異的IgE抗体など免疫学的機序を
      介する可能性を確認することによって診断される。
  2. 2乳児のアトピー性皮膚炎では、まずスキンケア指導などで湿疹を改善させた上で、食物アレルギーの関与について
      検索を進める。
  3. 3食物アレルゲンと誘発症状の関連を詳細な問診によって明らかにすることが診断につながる。
  4. 4免疫学的検査には特異的IgE抗体検査、皮膚プリックテスト、好塩基球ヒスタミン遊離試験などがある。
  5. 5特異的IgE抗体検査は、検査法により測定結果や評価法が異なることに留意する。アレルゲンコンポーネント
      特異的IgE抗体を測定することにより、診断精度を上げることができる。
  6. 6特異的IgE抗体価と診断確定率の関係を示したさまざまなプロバビリティカーブが報告されている。
      目的に応じて、適切な情報を参考にすることが望ましい。

注1: スキンケア指導
スキンケアは皮膚の清潔と保湿が基本であり、詳細は「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2012」などを参照する。
注2:薬物療法
薬物療法の中心はステロイド外用薬であり、その使用方法については「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2012」などを参照する。
非ステロイド系外用薬は接触皮膚炎を惹起することがあるので注意する。
注3:特異的IgE抗体陰性
生後6か月未満の乳児では血中抗原特異的IgE抗体は陰性になることもあるので、プリックテストも有用である。

図6-1a 食物アレルギー診断のフローチャート (食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)

乳児アトピー性皮膚炎では、詳細な問診の上、スキンケア指導を行っても症状不変であった場合に食物アレルギーの存在を考慮する。特異的IgE抗体陽性だけでは診断確定とはならず、食物除去試験で症状改善し、食物経口負荷試験で症状誘発を確認することが必要である。

図6-1b 食物アレルギー診断のフローチャート(即時型症状)

即時型アレルギー反応で発症し、食物アレルギーの関与が疑われる場合は、詳細な問診の上、疑われた食物について免疫学的検査を行う。原因食物が容易に予測できない場合はアレルギー専門の医師に紹介する。誘発された症状がアレルギー反応であるか疑わしい、複数の原因食物が疑われる、誘発閾値量や症状の重症度を決定したい、といった場合には、食物経口負荷試験による確定診断を行う。

図6-3 代表的なプロバビリティカーブ

プロバビリティーカーブは負荷試験が陽性となる確率を示すものであり、あくまで参考値である。カーブを読む時には、(1)どのような対象集団で算出されたか、(2)食物アレルギーの判断(食物経口負荷試験、症状誘発歴、陽性の判定基準など)、(3)食物経口負荷試験の方法(加熱卵か非加熱卵か、負荷量など)により結果(確率)が異なることに注意する。

表6-2 保険適用されている 食物アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査

粗抗原に加え、アレルゲンコンポーネント特異的IgE 抗体の測定により、より精度の高い診断が可能となる。
追記) Hev b 6.02は現在一時的に測定を中断しているが、間もなく測定が再開される予定である。

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