第7章 診断と検査(食物経口負荷試験を除く)

[ 要 旨 ]

  1. 1食物経口負荷試験(oral food challenge, OFC)は、アレルギーが確定しているか疑われる食品を単回または
      複数回に分割して摂取させ、症状の有無を確認する検査である。
  2. 2食物経口負荷試験は、食物アレルギーの最も確実な診断法であり、確定診断および耐性獲得の確認を主な目的として
      実施する。
  3. 3食物摂取に関連した誘発症状の詳細な病歴、基礎疾患、合併症、免疫学的検査データを参考にリスクを評価し、
      適切な総負荷量、実施時期および方法を決定する。
  4. 4食物経口負荷試験で症状がない場合や、はっきりしない場合は、負荷後数回にわたり再現性を確認する。
  5. 5食物経口負荷試験では、アナフィラキシーなど、重篤な症状が誘発される可能性があり、文書による説明と
      同意のもとで緊急対応が可能な体制を整備して実施する。
表7-1 食物経口負荷試験の目的

※:新生児・乳児消化管アレルギーの負荷試験に関しては、第12章を参照。

食物経口負荷試験とは、アレルギーが確定しているもしくは疑われる食品を単回または複数回に分割して摂取させ、誘発症状の有無を確認する検査である。食物アレルギーの確定診断、安全に食べられる量の確認および耐性獲得しているかどうかを確認する目的で行なう。

表7-2 重篤な症状を誘発しやすい要因

病歴、負荷予定の食物の種類、免疫学的検査の結果と基礎疾患をリスク因子として評価し、施行時期、負荷食品、総負荷量の選択を行なう。

表7-4 食物経口負荷試験(オープン法)の総負荷量の例

日常摂取量(full dose)の総負荷量は小学生の1回の食事量を想定し、耐性獲得を確認する量を想定している。
乳幼児などでは必要に応じて総負荷量を減量することを考慮する。
少量(low dose)の総負荷量は誤食などで混入する可能性がある量に設定し、ハイリスク例の初回の食物経口負荷試験を想定している。負荷の摂取間隔は20分以上が望ましい。

単回摂取、又は分割摂取させる総量を総負荷量という。微量誘発の可能性があるようなハイリスク例の場合は少量を目標量とした負荷試験を行い、それが陰性であれば中等量や日常摂取量の負荷試験に進むステップを設定するとよい。

表7-6 食物経口負荷試験の摂取間隔および分割方法の例

摂取間隔は20-60分で、1〜2時間の中で1〜5回に分けて漸増摂取する。最終摂取から最低2時間は経過を観察する。

戻る