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日本小児アレルギー学会
理事長 藤澤 隆夫
(国立病院機構三重病院 院長)

はじめに

2019年(令和元年)9月2日をもちまして、「一般社団法人 日本小児アレルギー学会」として、新しく発足する運びとなりました。これまで任意団体として行ってまいりました学術研究や医療向上に向けての活動、社会的貢献を引き続き発展させながら、社会的信用が担保された団体として、一層の努力をいたします。

日本小児アレルギー学会の歴史

日本小児アレルギー学会は、1966年(昭和41年)4月、小児のアレルギー疾患ならびに関連する免疫異常疾患に対する医療と学術研究を推進、健康な小児の育成に寄与することを目的に設立されました。この目的を達成するために、学術集会の開催、会誌「日本小児アレルギー学会誌」発行に加えて、各種ガイドラインである『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン』、『食物アレルギー診療ガイドライン』、さらに一般向けの『食物アレルギーハンドブック』、『災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット』などの作成を通じて、小児アレルギー疾患についての正しい知識の普及に努めてきたところです。そして、これらは当然ながら、病態解明と治療法開発に関する地道な研究から得られた科学的根拠に基づいて行われました。さらに、社会の求める課題に対しても、学術団体として、適切かつ迅速に提言・提案などを行うなど社会的使命も果たしてきました。

初代理事長の馬場実先生、続く、西間三馨先生、森川昭廣先生、近藤直実先生の卓越したリーダーシップにより発展をしてまいりましたが、2015年より藤澤隆夫(国立病院機構三重病院)が理事長を拝命しまして、このたび、法人第1期(2年間)も担当させていただきますので、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

対象とする疾患・分野

対象とする疾患は、近年急速に増加しつつある小児期のアレルギー疾患、すなわち気管支喘息、食物アレルギー、アナフィラキシー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、薬物アレルギーなどに加えて、好酸球性消化管疾患など、関連する免疫異常疾患や稀少免疫疾患です。感染症や呼吸器疾患、予防接種などにも免疫アレルギー的側面より積極的に関わります。もちろん、関連分野での母子保健と学校保健にも関わります。

学会組織とその活動

学会の構成メンバーは、上記疾患の治療・管理に関わる臨床医、病態解明と治療開発に関わる研究者(基礎医学、社会医学、疫学、臨床医学、心理学、看護学など)、子どもたちの包括的ケアに関わる医療スタッフの方々ですが、患者団体や学校、行政とも緊密な連携をとりながら活動をしています。

会員数は発足当初の小児アレルギー研究会から日本小児アレルギー学会へと改称した翌年の1987年(昭和62年)における1,137名から年々増加して、2019年(令和元年)9月1日現在、4,342名となっております。これら多くの会員の皆様は本学会の掲げる目的を達成するために、日々、診療、研究、患者ケアにご尽力され、年1回の学術集会でその成果をご発表いただいているところです。

学会組織は理事会、代議員総会に加えて、専門的に業務を推進するために各種委員会を設置して活動しています。すなわち、編集委員会(会誌の編集発行)、喘息治療管理ガイドライン委員会(『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン』の作成)、食物アレルギー委員会(食物アレルギーに関わる問題の検討とガイドラインの作成)、研究推進委員会(臨床研究の推進)、疫学委員会(小児アレルギー疾患の全国疫学調査、喘息死ゼロを目指す疫学調査)、社会保険委員会(小児アレルギー疾患の適切な診療報酬要望)、薬務委員会(薬物療法の適正化)、規約委員会(円滑な学会運営のための規約整備)、国際交流委員会(アジア諸国、欧米諸国との研究交流推進)、災害対応委員会(大規模災害時のアレルギー児支援体制整備)、将来計画委員会、広報委員会、利益相反委員会、倫理委員会という、14の委員会です。その他、刻々と変化する社会状況や小児アレルギーに関わる新たな問題に迅速に対応するため、各種ワーキンググループ(WG)も設置して、社会的使命を果たすことを目指しています。近年では、受動喫煙防止WG、キャリア支援WG、小児アレルギー教育セミナーWG、臨床研究支援セミナーWGなどであります(その他も含めて、現在7WG活動中)。

アレルギー対策基本法に基づく施策推進

平成26年6月27日に「アレルギー疾患対策基本法」が公布されました。これは、アレルギー疾患が国民生活に多大な影響を及ぼしている現状に鑑み、アレルギー疾患対策に関する基本理念を定めて、国などの責務として総合的対策を推進するものです。具体的な施策については、現在、各分野で検討が進んでいるところではありますが、本学会としましても、関連学会(日本アレルギー学会など)と協力して、国民のためになる施策作りに貢献していきます。

子どもたちに貢献する優れた臨床医、研究者の育成と国際化推進

さらに、本学会は、子どもたちがアレルギー疾患を克服して完全な健康を得ることを目指して、これをサポートする優れた臨床医や研究者の育成にも努力いたします。具体的には、若手小児科医を対象とした「小児アレルギー教育セミナー」や臨床研究を志す若手のための「臨床研究支援セミナー」などの教育活動を行いますが、とくに、新たな専門医制度下で総合アレルギー専門医を育成する日本アレルギー学会に協力して、専門医の育成にも関わります。

また、研究推進によって、わが国発のエビデンスを国際的に発信する努力を継続いたします。とくに、アジア地域との交流を深めて、日本だけでなく、アジアの、そして世界の子どもたちのアレルギー疾患克服に向けて、活動を展開していきます。

未来に向けて

わが国における小児アレルギー疾患の医療、研究、社会的サポートは、これまでの諸先輩方の努力により大きく向上しました。しかし、まだ解決すべき課題は残されています。会員の皆様の力を結集することにより、これにあたっていきたいと存じます。

子どもたちの明るい未来のために、ともに頑張りましょう。

令和元年9月2日 理事長 藤澤隆夫