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COVID-19流行期における喘息発作に対するネブライザー使用時の注意喚起

日本環境感染学会の「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2 版改訂版 (ver.2.1)2020年3月10日」(以下、ガイドラインと略します)と、CDC(Center for Disease Control and Prevention)の「Interim U.S. Guidance for Risk Assessment and Public Health Management of Healthcare Personnel with Potential Exposure in a Healthcare Setting to Patients with Coronavirus Disease (COVID-19)」にて、曝露カテゴリー高リスクである大量にエアロゾルが発生しやすい状況において、標準予防策に加えてN95マスクなどの個人防護具の着用が勧められており、その状況のひとつに「ネブライザー治療」と記載がされています。

http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide2.1.pdf
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-risk-assesment-hcp.html

ネブライザー使用に関して、American Academy of Allergy, Asthma and Immunologyは「COVID-19パンデミックの際には、SARS-CoV-2をエアロゾル化して感染伝搬させる可能性があるのでネブライザーは使用せず、医療機関でも家庭でも、喘息治療はMetered Dose Inhaler(MDI)を用いることが適切である」と述べています。

https://education.aaaai.org/resources-for-a-i-clinicians/covid-19

新型コロナウイルスの感染予防のためには、すべての患者の診察時に、ガイドラインに示された通り、感染リスクが不明な場合でも、標準予防策の徹底をはじめとした適切な対応を行いますが、喘息発作治療については、ネブライザーではなく、pMDI(+スペーサー)を用いることが望ましいと考えられます。小児気管支喘息治療管理ガイドライン2017のCQ6では「SABAの吸入方法として、スペーサーを用いたpMDIによる吸入と吸入液の電動ネブライザーによる吸入のいずれも提案される」としています。乳幼児などMDI+スペーサーの使用が困難な場合にネブライザーを用いる際には、十分な換気、他の患者との動線の分離などガイドラインに準拠した対応が必要ですが、もし感染者であれば感染伝搬のリスクが高くなることに留意します。

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001018/4/Pediatric-bronchial-asthma-treatment-management-guidelines2017-All.pdf
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-01-200319.pdf

なお、基本的な喘息治療は、日本アレルギー学会による「新型コロナウイルス感染における気管支喘息患者への対応Q&A(医療従事者向け)」およびGlobal Initiative for Asthmaの「RECOMMENDATIONS FOR INHALED ASTHMA CONTROLLER MEDICATIONS」に述べられている通り、感染前の対応として、吸入ステロイド薬等の長期管理薬による日頃からのコントロールが重要であり、適切な長期管理療法の継続をお願いします。

https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=67
https://ginasthma.org/recommendations-for-inhaled-asthma-controller-medications/

一般社団法人日本小児アレルギー学会
(2020.3.26)


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