日本小児アレルギー学会誌 第40巻3号(2026年8月) 発行のお知らせ
このたび、本誌第40巻3号をJ-STAGEにて電子版として発刊いたしましたことを、謹んでご報告申し上げます。
本号には、原著論文2報、症例報告4報、総説1報、「小児のためのアトピー性皮膚炎の予防と治療の手引き」解説2報、Meet the Expert 4報を掲載しております。
原著論文では、思春期前期の食物アレルギー児におけるレジリエンス特性とQOLとの関連を検討した研究と、乳児早期における家庭でのスキンケアおよび湿疹対応の実態を調査した研究を掲載しております。前者では、レジリエンスを構成する因子によってQOLとの関連が異なることが示され、食物アレルギー児への心理社会的支援を個々の特性に応じて考える重要性が示されています。後者では、多くの家庭ですでに洗浄や保湿が実践されている一方、乳児湿疹への対応については医療者への高い支援ニーズが認められ、初回予防接種などの機会を活用した皮膚評価や外用指導の重要性が示されています。
症例報告では、スギ花粉舌下免疫療法の維持量増量後にアナフィラキシーを呈した14歳女児、クルミアレルギーの関与が考えられた重症急性膵炎、長期間気管支喘息として治療されていた遷延性細菌性気管支炎、巣蜜によるアナフィラキシーを契機に診断されたローヤルゼリーアレルギーの小児例が報告されています。舌下免疫療法における安全管理、食物アレルギーに伴う重篤な消化器合併症、喘息治療抵抗性の湿性咳嗽における鑑別、蜂産物によるアレルギーなど、いずれも日常診療で重要な点を含む内容となっています。
総説では、「小児アレルギー診療における接触アレルギーの重要性」として、経皮感作、アレルギー性接触皮膚炎、蛋白接触皮膚炎、職業性皮膚疾患などについて、皮膚バリアと反復曝露の観点から幅広く解説されています。化粧品やジェルネイル、電子機器、外用薬など、小児・思春期を取り巻く曝露環境の変化も踏まえ、「何を食べたか」だけでなく、「何が皮膚に触れていたか」「どのように皮膚を守るか」という視点の重要性が示されています。
「小児のためのアトピー性皮膚炎の予防と治療の手引き」の解説では、薬物療法について外用療法と全身療法の両面から整理されています。外用療法では、ステロイド外用薬による寛解導入、プロアクティブ療法、各種抗炎症外用薬の位置付けが解説されています。全身療法では、生物学的製剤や経口JAK阻害薬の登場による近年の治療の進歩を踏まえ、適応年齢、投与方法、副作用、併存するアレルギー疾患への効果など、治療選択に必要な重要なポイントが整理されています。
Meet the Expertでは、IgE抗体を発見した石坂公成・照子博士夫妻の研究と哲学、小児アレルギー疾患におけるオピニオンリーダーの役割、国際的な研究競争の中で基礎研究を進めてきた経験と研究者としての姿勢、そして長年にわたる食物アレルギー診療の歩みが紹介されています。アレルギー学の歴史から現在の臨床・研究、そして次世代への継承に向けた力強いメッセージが込められています。
本号は、日常診療で遭遇し得る重要な鑑別や安全管理、患者・家族への心理社会的支援、皮膚バリアを起点としたアレルギー診療、進歩するアトピー性皮膚炎治療、さらに本邦のアレルギー学を築いてきた研究・臨床の歩みまで、小児アレルギー学を多角的に捉える内容となっております。
本号が会員の皆様の日常診療・研究・教育に広くお役立ていただけますよう、心よりお願い申し上げます。ぜひご高覧ください。
掲載論文
<原著>
- 思春期前期食物アレルギー児におけるレジリエンス特性とQOLとの関連 ―思春期アレルギー児レジリエンス尺度の構成概念妥当性の検討―
- 家庭における乳児早期のスキンケアと湿疹対応の現状と課題~初回予防接種時のアンケート調査から~
<症例報告>
- スギ花粉エキス錠維持量増量後にアナフィラキシーを呈した14歳女児の1例
- クルミアレルギーが関与した重症急性膵炎の1例
- 長期に気管支喘息として治療されていた少量マクロライド療法が著効した遷延性細菌性気管支炎の1例
- 巣蜜によるアナフィラキシーを契機に診断に至ったローヤルゼリーアレルギー小児例
<総説>
- 小児アレルギー診療における接触アレルギーの重要性―経皮感作,アレルギー性接触皮膚炎,職業性アレルギー,皮膚防御の観点から―
<解説『小児のためのアトピー性皮膚炎の予防と治療の手引き』>
- IV 章 薬物療法(外用療法)
- IV 章 薬物療法(全身療法)
<Meet the Expert>
- IgE 抗体の発見者石坂公成・照子博士夫妻の研究と哲学 斎藤 博久
- 小児アレルギー疾患のオピニオンリーダーの役割 吉原 重美
- 研究の大競争時代をいかに生きるか 川上 敏明
- 食物アレルギーの診療と取り組んできたこと 柴田瑠美子
下記のURL(外部リンク)にアクセスの上、ぜひご高覧下さい。
日本語画面URL:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jspaci/list/-char/ja
英語画面URL:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jspaci/list/-char/en
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日本小児アレルギー学会
編集委員会
(2026.8.20)
