[ 要 旨 ]

  1. 1花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome, PFAS)とは、花粉感作後に、花粉と交差抗原性を有する植物性食物を経口摂取してアレルギー症状を来す病態を指す。
  2. 2PFAS は口腔咽頭症状に限局することが多い。口腔咽頭症状を主徴とすることから、口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome, OAS)とも呼ばれる。
  3. 3原因食物は果物、生野菜や豆類で、一人の患者が複数の原因食物を持つことが多い。カバノキ科花粉感作によるバラ科果物アレルギー(リンゴやモモなど)が代表的である。
  4. 4主な原因アレルゲンであるBet v 1 ホモログやプロフィリンは、熱に不安定である。
  5. 5診断には、新鮮な果物や野菜を用いたprick-to-prick test が有用である。大豆のPFAS ではGly m 4 特異的IgE 抗体測定が診断の補助になる。
  6. 6治療の基本は原因食物の除去であるが、加熱調理された加工食品であれば、摂取できることが多い。

表14-1 花粉-食物アレルギー症候群に関与する花粉と植物性食品

特定の花粉にアレルギーを有する場合に、右に示す植物性食品による食物アレルギーを合併しやすい。ただし、この組み合わせ以外でも症状が誘発されることがある。


表14-2 ラテックスと交差反応性を示しやすい食物

ラテックスアレルギーでは、表記の食物(多くは果物)を摂取した際に交差反応によってアレルギー症状が出現することがある。特に、上段の食物による誘発頻度が高い。


表14-3 獣肉アレルギーの鑑別

pork-cat 症候群はネコ抗原の気道感作、α-Gal症候群はマダニ咬傷による経皮感作が主な原因である。


表14-4 鶏卵アレルギーの鑑別

bird-egg症候群は、成人期でも発症しうる鶏卵アレルギーで、鳥抗原による経気道感作によって生じ、卵黄優位で、鶏肉アレルギーの合併も従来の鶏卵アレルギーに比べ多い。