[ 要 旨 ]

  1. 1食物アレルギーの診療にあたる医師は、アレルギー表示に関する制度を理解し、患者や家族に対して指導支援する。
  2. 2アレルゲンを含む食品の表示は、消費者庁管轄のもとで、食品表示法により規定されている。
  3. 3発症数や重篤度から特に表示の必要性が高い食品として、特定原材料7 品目〔えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)〕に表示が義務付けられている。また、特定原材料に準ずるものとして、21 品目に表示の推奨がなされている。
  4. 4表示規制の対象は容器包装された加工食品などであり、外食や中食は規制対象外であるため、喫食の際には注意を要する。

表17-1 表示の対象

現在「アレルゲン」として特定原材料7 品目(表示義務あり)とそれに準ずる21品目(表示を推奨)の計28品目が表示の対象となっている。


表17-2 アレルギー表示の実際(個別表示と一括表示の例)
(アレルギー表示は原則、個別表示であるが、例外として一括表示も可とする)

アレルギー表示では、特定原材料等を含む場合は原則、「(○○を含む)」のように原材料名の直後に括弧を付けて個別表示をする。個別表示が難しいなどの理由で一括表示をする場合は、当該食品に含まれるすべての特定原材料等について、原材料欄の最後に「(一部に○○・○○・…を含む)」と表示する。
一括表示には一覧性という利点はあるものの、どの原材料にアレルゲンが含まれるのかがわかりにくくなるなどの欠点がある。なお、個別表示と一括表示を組み合わせて使用することはできない。


表17-3 代替表記と拡大表記

特定原材料等と表記方法は異なっても、同一のものと理解できるものであれば特定原材料等の表示に代えることができ、これを「代替表記」という。また、原材料名に特定原材料等や代替表記を含む場合、特定原材料等を使った食品であると理解できるものであれば特定原材料等の表示に代えることができ、これを「拡大表記」という